標準電波「JJY」

- 2013.05.04

正確な時・周波数を送信する標準周波数局JJY

 標準電波は、正確な時間と周波数を知らせるための標準となる電波です。そのための標準電波を送信する標準周波数局と呼ばれる局が世界各地にありますが、我が国ではJJYという呼出符号の標準周波数局が独立行政法人情報通信研究機構(NICT)で運用されています。

※短波の海外の標準周波数局には、BPM(中国)、WWVH(米国)、RID(ロシア)、BSF(台湾)、HLA(韓国)などがあります。


JJY長波標準電波局

 短波では受信される電波が電離層の影響などで精度が低下するため、電離層の影響を受けにくい長波の電波が利用されるようになり、長波帯のJJYが1999年6月10日(時の記念日)より運用開始されました。現在は、福島県と佐賀県から標準電波が送信されており、日本全国をカバーしています。

長波帯(40kHz及び60kHz)のJJYの施設の概要は次のとおりです。

《おおたかどや山送信施設概要》
送信所名称独立行政法人 情報通信研究機構
おおたかどや山標準電波送信所
送信場所福島県田村市と双葉郡川内村との境界の大鷹鳥谷山(おおたかどややま)山頂付近
送信周波数40kHz
アンテナ250m主鉄塔による傘型アンテナ
空中線電力50kW(実行輻射電力:10kW以上)
運用時間連続運用
開局1999年(平成11年)6月10日

《はがね山送信施設概要》
送信所名称独立行政法人 情報通信研究機構
はがね山標準電波送信所
送信場所佐賀県佐賀市と福岡県糸島市との境界の羽金山(はがねやま)山頂付近
送信周波数60kHz
アンテナ200m主鉄塔による傘型アンテナ
空中線電力50kW(実行輻射電力:10kW以上)
運用時間連続運用
開局2001年(平成13年)10月1日

JJY標準周波数局(おおたかどや山標準電波送信所)のベリカード
JJYおおたかどや山
    JJY標準周波数局(はがね山標準電波送信所)のベリカード
JJYはがね山

 JJYの時刻信号は、十万年にプラスマイナス1秒という精度のセシウム原子時計による時刻信号を電波で伝えています。
 セシウム原子時計も温度や湿度、地球の磁場などの環境により周波数が変化するため、その影響を避けるために、セシウム原子時計の原器室に10台の装置を設置して、お互いの原器同士の時刻誤差を計測して、そのデータを1日に1回平均・合成して補正しています。その生成した時刻(協定世界時:UTC)に日本標準時(JST)の時差9時間を進めてJSTとしています。

 JJY局両局の出力は50kWで、受信可能範囲は半径1000km~1500kmで、おおたかどや山局の電波は北海道から中国・四国まで、はがね山局の電波は関東から沖縄までをカバーしています。

 JJYは原則として24時間継続して電波が送信されているのですが、機器やアンテナの保守などのため、送信が停止されることもあります。その運用状況は、NICTのウェブサイトで標準電波運用情報として公表されています。

-----

 ラヂヲ堂でもAR7030とロングワイヤアンテナで40kHz及び60kHzが受信できました。

 受信モードをCWにして、周波数を合わせると「ピー、ピー、ピー、ピッ」というタイムコードの信号音が聞こえてきます。NICTのホームページを見ると長波JJYのタイムコードの定義が掲載されています。

 実際耳で聞こえる「ピー(0.8秒)」、「ピッ(0.5秒)」、「ピ(0.2秒)」の信号音で時分や1月1日からの通算日、曜日、うるう秒などが識別できます。

 また、00秒、09秒、19秒、29秒、39秒、49秒、59秒には、「ピ(0.2秒)」のポジションマーカーの信号が聞き取れ、その間に「ピッ(0.5秒)」の信号の聞こえる秒でもって日付や時間などが識別できるのです。まるで、自分が電波時計になったような感じですね。

 さらに毎時15分40秒と45分40秒には、JJYの呼出符号がモールスコードにより2回送信されます。


長波JJY運用開始5周年記念カード

 JJYを運用しているNICT日本標準時グループでは、長波JJYの運用開始5周年を記念して記念カードを発行しました。

 1999年6月10日におおたかどや山の長波JJYの運用が開始され、2004年6月10日で5周年を迎えました。また、当時JJYを運用していた通信総合研究所(CRL)が、2004年4月1日より情報通信研究機構(NICT)と組織も変わり、これらを機会に、長波JJYを利用状況を把握し業務の参考とするため、アンケートと受信報告受付を実施し、送付した人には記念カードが発行されました。(実施期間:2004年6月10日~9月30日)

JJY長波標準電波運用開始5周年記念ベリカード
長波JJY5周年記念カード(表面)      長波JJY5周年記念カード(裏面)

電波時計

 日本で利用される電波時計は、JJYの信号を時計に内蔵する高性能アンテナで受信して時刻を修正する時計です。JJYの時刻信号は、時計に内蔵されたアンテナや受信機で受信され、増幅器で増幅された信号がマイクロプロセッサによって信号が解読されて、正確な時刻との差を電気信号に変換して、正確な時刻とカレンダーに自動的に修正するという機能があります。

 電波時計は、福島のおおたかどや山局の40kHzと九州のはがね山局の60kHzを自動的に選局するものと、手動でどちらかを選択するもの、それぞれ一方の局にのみ対応するものがあります。
 電波時計のJJY受信方法には、自動受信と強制受信があり、自動受信は毎日決まった時刻に時計が自動的にJJYを受信して時刻補正をするもので、時計のモデルによって時刻補正を1日1回するものや1日数回するものがあります。
強制受信は利用者が適宜受信操作をすることでJJYを受信して時刻補正することができます。
ラヂヲ堂の電波時計

 ラヂヲ堂には、上の写真のように掛け時計、目覚まし時計、腕時計の電波時計があります。
 2010年には、国内で販売された置き時計や掛け時計の6割、腕時計は4割を電波時計が占めるほど電波時計が急速に普及しています。

JJY短波標準電波局(廃局)

 短波帯の標準電波JJYは約60年にわたり送信されてきましたが、2001年3月31日12時をもって廃止されました

 これは、短波帯の標準電波に比べ受信周波数精度の高い、また、時刻情報の利用が容易な長波帯(40kHz及び60kHz)の標準電波に移行するためです。

 これまで、短波帯のJJYは、5MHz、8MHz、10MHz(以前には2.5MH、15MHzでも)の周波数で送信されていました。

 その概要は次のとおりです。
 毎時9のつく分にモールスや音声によるアナウンスが出されており、モールスコードによるJJYを2回、モールスコードによる時刻符号(日本標準時)を1回、女性の音声でJJYを2回、女性の日本語音声で日本標準時(24時制)を1回、モールスコードによる電波警報符号を5回を送信します。

    電波警報は次のようにモールス符号で伝播伝搬の状態を表します。
  • N(-・):電波の伝搬状態が安定しているとき。
  • U(・・-):不安定が予想されるとき。
  • W(・--):異常現象があるとき。

JJY標準周波数局(短波帯)のベリカード
短波JJY

 左はラヂヲ堂で5MHzのJJYを受信して報告したときのベリカードです。

 その後、短波JJYの廃止が発表になりました。短波JJYが2001年3月末で廃止になるということで、3月中に受信報告をすれば廃止記念ベリカードを発行されるという情報が独立行政法人通信総合研究所(現 独立行政法人情報通信研究機構)のホームページに掲載されました。

 ラヂヲ堂でも3月31日午前中よりJJYを受信し、そして正午の時報、それが短波JJY最後の瞬間となり、それ以降電波は停波してしまいました。この最後の瞬間を受信した内容で受信報告を行いました。下がその報告に対して送られてきたJJY廃止記念ベリカードです。

 聞きなじみのJJYが聞こえなくなり、短波帯が本当に寂しくなりました。

JJY標準周波数局(短波帯)の廃止記念ベリカード
JJY廃止カード(表面)   JJY廃止カード(裏面)
ページのトップへ戻る